結婚式のスーツマナー、正しく上品に着こなすメンズの心得8か条

結婚式に着るスーツですが、黒のセットアップに白のポケットチーフを胸に挿して参列すれば万事OKだったのは昔の話です。現代の結婚式では友人として来賓参加する場合でも、ある程度お洒落に着飾って式全体を鮮やかなものにすることが、主役である新郎新婦への無言の賛辞であると言えるでしょう。
しかし、ただ流行りに任せてドレスアップすればいいという話ではありません。ホテルウェディングのようなフォーマル度の高い結婚式で、ジャケパンスタイルにニットタイで参列しては笑い者です。あくまでマナーの解釈の範囲内で着飾ってこそ洗練されたフォーマルスタイルと言えます。この記事では、結婚式マナーの基本を抑えつつ、お洒落にドレスアップするための心得を8つ紹介します。

1.ブラックスーツかダークスーツが基本

通常のビジネスで着るような黒よりもさらに深い黒であるブラックスーツ、もしくは濃紺やチャコールグレーなどのダークスーツで参列するのが結婚式のマナーです。ブラックスーツに関しては、大手チェーンの青山やはるやまの礼服コーナーで売られている、1着2万円前後のものでも問題はありません。しかし、体型にジャストフィットしたものをスマートに着こなしたいならもう少し上質なものを買う必要があります。
ネイビーやチャコールグレーに関しては、ブラックスーツよりもお洒落に着こなせる上に、結婚式専用にせずともビジネスシーンで活用することもできるのでメリットが大きいです。ただ、色が明るすぎるもの、光沢が強すぎるものは主役よりも目立ってしまうので注意が必要です。

2.スーツの柄は無地

無地(ソリッド)のスーツが基本ですが、多少のストライプぐらいであればOKです。許容範囲としては、薄いペンシルストライプや、シャドーストライプの織り柄程度なら問題ないでしょう。さすがにネイビースーツにピンクのストライプだと、結婚式に着ていくものとしては少し悪趣味ですね。
上述したとおり、ブラックスーツはともかく、ネイビーやグレーのソリッドスーツはどんなワイシャツやネクタイにも合うのでやはり汎用性が高いです。手持ちのスーツがストライプしかないのであれば、無地のスーツを新たに購入しても損はないでしょう。

3.ネクタイはシルバー系が定番

本来の結婚式のマナーではネクタイは白、もしくはシルバー系であればOKとされています。ただ、最近の結婚式や披露宴では、30代ぐらいまでの世代は特に、ネクタイの色や柄は好きなものを自由に着用しているのが現状です。しかし、普通に仕事で巻いているようなストライプやドットのタイではあまりにフォーマル慣れしていない感じが出てしまいます。
スーツならともかくネクタイぐらいは、結婚式専用で使うものを一本は用意しましょう。王道に着飾るならシルバー系が定番ですし、もう少しエレガントに攻めたいならリングタイやボウタイ(蝶ネクタイ)を試してみるのも良いでしょう。ある程度自由とはいえ、黒が入った柄や、殺生を連想させるアニマル柄は厳禁です。

4.ポケットチーフ、カフリンクスなど小物で着飾る

ブラックスーツの場合は特にですが、シャツ・スーツ・ネクタイだけでは簡素すぎるコーディネートとなってしまい、お祝いの場の衣装としては若干もの悲しくなってしまいます。日常とは違い、結婚式ではポケットチーフやカフリンクス、ラペルバーなどで着飾っても決して浮くことはありません。むしろ、ある程度着飾ることで、場慣れした印象を持たれます。

5.マナー的にもファッション的にもワイシャツは白で

ワイシャツに関しては白がおすすめです。マナーとしての部分も当然ありますが、コーディネート的な目線で考えても、ネクタイや小物で着飾るぶん、ワイシャツに関してはシンプルな白無地のほうが上品です。カラーシャツやストライプ柄のワイシャツにしてしまうと少し騒がしい印象になり、エレガントさが欠けてしまいます。

6.【重要】結婚式でボタンダウンシャツは恥ずかしい

最近本当に間違える人が多いのが、結婚式でのボタンダウンシャツ着用です。襟をボタンで留めるのが特徴のこのシャツですが、最近大手スーツチェーンが大々的に販売している「ドレスシャツ」にこのボタンダウンを取り入れているため、これがフォーマルであると勘違いする人が続出しています。しかし、ボタンダウンの襟はアメリカのポロというスポーツが起源で、どちらかと言うとノーネクタイで使うために作られています。
大手スーツチェーンでは、白の安っぽい形状安定シャツが「ワイシャツ」、そしてボタンダウンや二重襟など装飾が施されているものが「ドレスシャツ」として売られている傾向にあります。しかし、そもそもドレスシャツ(Dress shirt)とは、ビジネスでスーツと合わせて着るシャツのことで、つまりワイシャツはすべてドレスシャツなのです。日本のスーツ企業の商品戦略に騙されて、間違ってもボタンダウンや二重襟シャツで結婚式に参列しないようにしましょう。
ワイシャツを選ぶポイントですが、余計な装飾に惑わされるのではなく、むしろシンプルであるほうが洗練されたイメージになります。

上質なワイシャツ選びのチェック項目
・綿100%
・胸ポケットは無し
・ダボつきのないジャストサイズ
他にも、最近では背中にダーツが入ったスリムスタイルが流行っていたりなど、シンプルななかにもこだわるべきポイントはたくさんあります。結婚式に関して言えば、襟は通常のレギュラーカラーか、少し広めのワイドスプレッドカラーが良いでしょう。

7.ベスト着用でより上品に

ベストに関しても普段使いする人は少数派ですが、フォーマルファッションを追求する場合は不可欠なアイテムです。やはりベスト着たほうが断然エレガントですね。スーツを買うときにスリーピースのものを選んでおけば、フォーマルの場でベストが無くて困ることはありません。オーダーメイドでスーツを仕立てる場合は、数千円ほど料金を上乗せすることでベストも作ってもらえます。ただ、ブラックスーツの場合は注意が必要で、ベストも黒にしてしまうと、全身黒ずくめで重たい印象になってしまいます。黒のスーツの場合、ベストはグレーにすると武骨さがやわらぎ、上品になります。
また、夏の場合ベストは不相応と考える人がいますが、上着を脱いでワイシャツ姿になることこそ本来のフォーマルスタイルに相応しくないので、正しいフォーマルスタイルを貫くなら夏場こそベストは必須です。

8.靴、ベルト、靴下はすべて黒が正解

現代の結婚式は、ある程度解釈を広げてもいいマナーと、守らなければ恥をかいてしまうマナーがありますが、靴に関しては後者です。必ず黒を履きましょう。靴の型ですが、ベルト式のモンクストラップはNGで、紐靴のプレーントゥ(つま先が無装飾)かストレートチップ(つま先に一本線)が推奨です。結婚式に限らずフォーマルなパーティでは、革靴はその人間のアイデンティティを最も表すアイテムと言っても大げさではありません。光沢のくすんだガラスレザーの靴ではなく、できることなら本革で作られた、グッドイヤーウェルト製法の内羽根ストレートチップを履きましょう。そして靴下も必ず黒です。また、マナー以前にスーツファッションの掟として革靴とベルトは同じ色を選ぶ必要があります。

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