最近では、オーダーメイドでスーツを仕立てることのハードルがかなり下がってきました。安価なものなら、百貨店などの既製品スーツと変わらない2〜3万円台からオーダースーツを作れます。
オーダースーツ人口が増えた理由の一つが、お店のウェブサイトから注文できるようになったこと。自宅で気軽に生地やデザインを選べるので、時間がない人やオーダースーツ初心者でも安心して注文できます。
このページでは、オーダースーツをネット注文することのメリットや注意点について解説。クオリティの高いスーツを仕立てるおすすめの店や、デザインの決め方についても紹介します。
目次【本記事の内容】
- 1.オーダースーツのネット注文には2種類ある
- 1-1.生地選びから採寸まですべてネットで注文するタイプ(ネット完結型)
- 1-2.ネット注文と店舗注文の両方に対応しているタイプ(ネット&実店舗型)
- 2.オーダースーツをネットで注文するメリット
- 2-1.人件費が抑えられているから良い生地を安く注文できる
- 2-2.焦らずじっくりとデザインや生地が決められる
- 3.「ネット完結型」のオーダースーツは採寸を自分で行なわなければならない
- 4.ネット対応のオーダースーツおすすめ店
- 4-1.ネット完結型だから高級生地のオーダースーツが格安「Suit Ya」
- 4-2.ネットオーダー&店舗採寸で細身スーツも!豊富な生地を揃える「KASHIYAMA(カシヤマ)」
- 5.オーダースーツおすすめのデザイン
- 6.一着目のオーダースーツはベーシックなデザインがおすすめ
オーダースーツのネット注文には2種類ある
生地選びから採寸まですべてネットで注文するタイプ(ネット完結型)
近年増えつつあるのが、店舗へ一度も足を運ばずすべてネットで完結するタイプのオーダースーツ店。実店舗型の店に比べて、価格が抑えられているのが特徴です。
画面を見ながらじっくり生地やデザインを選べるので、オーダースーツ初心者におすすめ。注文も受取も店へ行く必要がないので、時間がない人にも向いています。
ネット注文と店舗注文の両方に対応しているタイプ(ネット&実店舗型)
実店舗にて接客してもらう従来型のオーダースーツ店も、ネットで注文を受け付けているところが増えています。
あらかじめ生地やデザインを選んでおくことで、いざ店へ行ったときに戸惑うことがありません。また、一度決めたデザインを、店員さんと相談しながらブラッシュアップしていくこともできます。
採寸もプロにやってもらえて、よりフィット感のあるスーツが仕立てられるので、時間に余裕がある方は「ネット注文→店舗で採寸」のタイプがいいでしょう。
オーダースーツをネットで注文するメリット
人件費が抑えられているから良い生地を安く注文できる
オーダースーツを作るうえで、特に価格に影響するのが生地です。イタリアやイギリスの高級生地でオーダーすれば当然値段は高くなり、国産の無銘な生地なら費用は抑えられます。
ネットを利用するオーダースーツなら、採寸のためのスタッフなど人件費が低くなるぶん、生地代の値下げが可能に。完全店舗型のオーダースーツ店より、低価格で良質な生地を選ぶことができます。
特にネット完結型では、通常の市場では考えられない値段で高品質な生地が選べます。
焦らずじっくりとデザインや生地が決められる
オーダースーツを作るとき、襟の形やポケットのデザイン、スラックスのプリーツなど自分で仕様を決めていきます。オーダースーツの醍醐味でもありますが、慣れないうちはなかなか戸惑うものです。
ネットで注文できるオーダースーツ店なら、画面を見ながらじっくりとデザインを決めることが可能。店頭でのプレッシャーに負けて、勢いでデザインを決めて後悔する心配がありません。
最初の生地選びを慎重に行なえるのもメリットです。店舗型だとバンチブックと呼ばれる生地リストや一枚物の布だけを見ながら選ぶことになるので、完成図がイメージしづらいもの。ネット注文だと完成図が3D表示されるため、色や柄の雰囲気をリアルにイメージできます。
「ネット完結型」のオーダースーツは採寸を自分で行なわなければならない
どんな高級ブランドのスーツでも、ダボダボではみすぼらしくなります。オーダースーツの最大のメリットは、「身体にフィットした完璧なシルエット」のスーツが仕立てられることだと言えるでしょう。
ただし、ネット完結型のオーダースーツの場合は採寸を自分で行なわなければなりません。腕などは一人で正確に計るのは現実的に不可能なので、誰かに測ってもらう必要があります。
採寸時の不便さは、ネット完結型のデメリット。自己採寸に不安がある人は、店舗で採寸できるタイプのお店を選んだほうがいいでしょう。
「いきなりオーダースーツはちょっとハードルが高い」と感じてしまう人は、オーダーシャツからトライしてみるのもおすすめです。クールビズの期間を含め、一年の半分近くを「ワイシャツ姿」で過ごす人も多いはず。オーダーシャツなら、数千円で仕立てることが可能です。
ネット対応のオーダースーツおすすめ店
ネット完結型だから高級生地のオーダースーツが格安「Suit Ya」
「Suit ya」は、注文から受け取りまで全てがネットで完結するオーダースーツのサービス。店舗を構えないため、高級生地のスーツが普通では考えられないほどの低価格で仕立てられます。
実店舗型なら10万円前後はする「エルメネジルド・ゼニア」が7万円ほど。「カノニコ」「レダ」といったイタリアの高級生地も5万円ほどで、モノによってはスーツセレクトなどの量販店より安いぐらいです。
ただし、どれだけ上質な生地を使っていても縫製が雑では意味がありません。Suit Yaではベトナムに自社工場を所有。日本人スタッフ指導のもと、経験を積んだ現地の職人がていねいに仕立てるため、クオリティに関しての心配は不要です。
一番気になるのが採寸。これに関しては、当然ながら実店舗型のようにスムーズにはいきません。初めての場合は自分で入力していく必要がありますが、部位ごとに正しい計測方法が説明されているのでそこまで戸惑うことはないでしょう。15〜20分ほどで入力できるはずです。
ほかの店で作ったオーダースーツがある場合は、そのスーツを郵送して採寸してもらう「採寸代行」なども使えます。
⇒「Suit ya」公式サイトへ「Suit ya」で理想の一着を仕立てるための注文手順やレビューについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ネットオーダー&店舗採寸で細身スーツも!豊富な生地を揃える「KASHIYAMA(カシヤマ)」
大手百貨店にも入っているKASHIYAMA(カシヤマ)は、オーダースーツの老舗。高級スーツブランドの「五大陸」の他、「J. PRESS」「23区」等の有名ファッションブランドを展開するアパレル企業です。
生地やデザインはあらかじめネットで注文できるため、店舗で戸惑う心配はありません。後日採寸で店舗に足を運んだときに、スタッフと改めて相談することもできます。
価格が29,700円〜と、初めてのオーダースーツとして手の出しやすい料金設定です。
オーダースーツおすすめのデザイン
デザインを自由に決められるのもオーダースーツならではの魅力。とはいえ、はじめての場合はどんなデザインを選んで良いのか迷ってしまうものです。
そこでここからは、オーダースーツを注文するうえでの「王道」のデザインを紹介。長く愛用できる「クラシック」なデザインを解説するので、仕立てるうえでの参考にしてください。
1.フロントボタンの数は2つ
まずは前で留めるボタンの数です。これは「2つ」が定番。スーツの数が増えてきたら、段返り3つボタンやダブルブレストにもトライしましょう。
2.幅広いシーンで着るならノッチドラペル
衿(ラペル)には、下向きに角度のついた「ノッチドラペル」と、上にピンと上がった「ピークドラペル」があります。ビジネススーツとして仕立てるなら、ノッチドラペルがいいでしょう。
3.腰ポケットは好みでOK
結婚式など、フォーマルシーンで着るなら腰ポケットは「標準」がベターです。斜めになったものはスラントポケットといって、騎乗時にものが落ちないように設計されたもの。つまり「外出用」の仕様なので、ビジネス寄りのデザインです。英国調のデザインを取り入れたいなら、もう一つポケットを備えたチェンジポケットという選択肢もあります。
4.ベント(裾の切れ込み)はサイドベンツがおすすめ
実はクラシックなのはベント「無し」です。ただし現代ではほとんど見かけないのと、機能性にも欠けるのであまりおすすめではありません。「センターベント」は既成品のスーツでよく使われる仕様。オーダースーツで仕立てるなら、「サイドベンツ」がスマートでおすすめです。
5.フロントカットは「カッタウェイ」か「セミカッタウェイ」
フロントボタンから裾にかけての開きを、フロントカットと呼びます。この部分が大きく開いた「カッタウェイ」は、ナポリスーツやブリティッシュスーツに多く取り入れられている仕様。色気のある洗練された印象を演出します。「標準」はボックス型のシルエットになり、お固い雰囲気に。
6.袖のボタン数はこだわり次第
特にこだわりがなければ、既成スーツと同じ標準仕様の3ボタンや4ボタンでOKです。「キッシング」とはボタンの間隔が狭い仕様のこと。ボタンが密着するぶん腕が長く見える視覚効果があるので、小柄の方などにおすすめです。「キッシング」も「重ね」も、イタリア系のジャケットに取り入れられている仕様です。
7.裏地は「総裏」が定番!夏用なら「背抜き」に
ジャケットの裏地に関しては、そこまでこだわる必要はないでしょう。秋、冬、春と長いシーズンを着るなら「総裏」、夏など暑い時期用なら「背抜き」を選んでおけばOKです。
また、裏地の色を指定できるのもオーダースーツならでは。既成スーツの場合はグレーなどのダークカラーが基本ですが、既成品には存在しない色を選ぶことができます。ただしあまり派手な色だとジャケットを脱いだときに恥ずかしい思いをするので注意しましょう。
8.パンツは無難にいくなら「ノータック」、クラシックなのは「ツータック」
スラックスの前側に入ったヒダを「タック(プリーツ)」といいます。ヒダの無い「ノータック」は、細身ですっきりとして印象。「ワンタック」や「ツータック」はクラシックな仕様で、腰回りがゆったりしているのが特徴です。
タック入りのスラックスは全体的にダボッとさせてしまうといかにもオジサンくさい印象になってしまいますが、オーダースーツの場合は心配不要。腰から裾にかけて絞り込んだ「テーパードシルエット」に仕立てることで、脚のラインを美しく見せることができます。
無難なのはノータックですが、近年のスーツトレンドはクラシック回帰の傾向があるので、タック入りを選んでおいて損はありません。いきなりツータックに挑戦するのに抵抗があるなら、ワンタックを選んでみてもいいでしょう。
ちなみにタックには外側を向いたアウトタックと、内側を向いたインタックがありますが、ベーシックなのは「アウトタック」です。
9.スラックスの脇ポケットは好みでOK
斜めのポケットはやや機能的。デザインのアクセントにもなります。縦型のポケットはフォーマル向け。すっきりとした見た目が特徴です。
タックとのバランスも考えながら、好みの仕様を選びましょう。
10.スラックスの「シングル」と「ダブル」は着用シーン次第
スラックスの裾を折り返したものが「ダブル」、折り返していないものが「シングル」です。ダブルの裾は、屋外などのスポーツで裾を汚さないために折り返したのが由来。そのため、ビジネスやカジュアル向けの仕様となります。
ビジネスで使いつつ、結婚式などのフォーマルシーンでも着用したい場合は「シングル」の裾を選んだほうがいいでしょう。
ちなみに「ダブル」の折返し幅は好みによりますが、35mmあたりが無難です。
11.ヒップポケットはできるだけ目立たない仕様がおすすめ
幅広いシーンで着用するスーツを求めるなら、余計な装飾や機能性は削ぎ落とすのがセオリー。フラップ(ふた)付きのスラックスは、ややカジュアルな印象を与えます。
そもそもスーツはシルエットが命なので、基本的にスラックスのポケットには何も入れるべきではありません。財布やスマホでポケットがゴツゴツとしてしまうと、せっかく仕立てたオーダースーツも台無しです。
ヒップポケットの仕様は、できるだけシンプルな「左ボタンのみ」を選びましょう。
12.実はボタンの「材質」で印象が大きく変わる
ボタンの素材は、驚くほど全体の印象に影響を与えます。どれだけ上質な生地を使っていても、ボタンがプラスチックだと安っぽい印象に。逆にチープな生地でも、ボタンが上等だとそれなりに見えるものです。
ボタンに関しては、オプション料金を上乗せしてでも上質な材質のものを選んで損はないでしょう。おすすめの材質は「水牛」や「シェル(貝)」のボタンです。
一着目のオーダースーツはベーシックなデザインがおすすめ
自分で色々デザインできてしむので、つい珍しい仕様を選びがちですが、一着目に関してはベーシックなものがおすすめ。スーツはシンプルであればあるほど、幅広いシーンで着用できるからです。
また、ベーシックでクラシックなスーツは飽きることがありません。逆に、あまり深く考えず特徴的な柄や仕様を選んでしまうと後悔することも。長く愛用することを想定して、ひとつひとつの仕様を慎重に決めていきましょう。
「Suit ya」なら、画面を確認しながらじっくりと仕様を選べます。店員さんに余計なオプションを営業される心配がないのは、ネットオーダーの隠れたなメリットだと言えるでしょう。
⇒「Suit ya」公式サイトへベーシックなものを一着手に入れると、「次はこういうスーツが欲しい」という願望が湧いてきます。2着目以降は採寸データも残っているので、よりスムーズに仕立てることが可能です。