スーツの正しい着こなし方

スーツスタイルは基本的に、ジャケット・ズボン(パンツ/トラウザーズ)・ワイシャツ・革靴・ネクタイ・ベルトで構成されます。これらのアイテムをルールどおり着こなすことで、全体のシルエットが洗練されます。「どのワイシャツにどの柄のネクタイを合わせるか」といったコーディネート論も大事ですが、その前にまずは土台となる基本的なスーツの着こなし方について知っておきましょう。

スーツのジャケット着こなし

フラップ

スラントポケット

ジャケットのサイドポケットのフタ(フラップ)ですが、元々は雨避けのためとして作られました。このことから、屋外ではフラップを出し、室内ではフラップをしまうという考え方があります。着こなしの基本として、左右のフラップを統一することだけは必ず意識しましょう。片方だけ出して一方はしまうというチグハグなのはダメです。

物を入れない

サイドポケットNG

シルエットが命のスーツスタイルにおいて、ジャケットのサイドポケットに物を入れるのは絶対にやってはいけない禁忌です。一見薄いと思えるスマホや名刺入れ、ポケットティッシュですらアウトです。どんな高級スーツに身をつつんでいても、これをやってしまうと見事に魅力がゼロになります。スーツによっては、購入したときにサイドポケットが仮縫い状態のものがありますが、型崩れ防止のために、そのままの状態にしておいてもいいぐらいです。

一番下のボタンを外す

ボタンの数

ジャケットの一番下のボタンは外しておくのが、1930年代ごろから続くスーツのルールです。現在主流の2ボタンスーツは、上のボタンだけ留めておくようにしましょう。段返り3つボタンスーツの場合は、一番上のボタンは飾りになるので、真ん中のボタンのみを留めるようにします。

立つときはボタンを閉め、座るときは開く

座ったとき

続けてボタンに関してですが、ジャケットは立ち姿のときら閉めておき、座るときのみ開くのが紳士のたしなみです。座ったときまでボタンを閉めていると、ジャケットのシルエットが崩れてしまうので、着席時は全開でオーケーです。

上級編、チーフを入れる

ポケットチーフ

胸ポケットにチーフを挿すことでよりおしゃれな印象になります。オフィスワークの会社員の場合、普段のビジネスシーンでこれをするのは若干抵抗がありますが、白のチーフで、TVホールド(スクエア型)であれば気取った感じがしないのでおすすめです。結婚式などのフォーマルな場所では、むしろある程度着飾るべきなので、積極的にポケットチーフを取り入れましょう。ネクタイの色に合わせたチーフを選ぶとよりエレガントになります。

スーツのパンツ着こなし

ダブルの裾はビジネス、シングルはフォーマルが基本

パンツ裾

パンツの裾をダブルにすることで、周りの人とはひと味違ったおしゃれを演出できます。元々、馬上での泥よけ対策からダブルの裾は、ビジネスシーンに向いたスタイルです。逆にフォーマルな場では、パンツの裾はシングルのものを履くのが相応しいです。

靴下はパンツもしくは靴に合わせる

革靴と靴下

靴下は、パンツか革靴のどちらかの色に合わせるようにしましょう。パンツに合わせると、脚長効果を狙うこともできます。スーツの靴下は基本的に下着扱いなので、差し色として赤や白などの靴下を選ぶのはNGです。また、座ったときに足のすねが露出してしまわないよう、靴下は長めのものを選びましょう。ふくらはぎまであるロングホーズの靴下がベストです。

ベルトは真ん中の穴を使う

ベルト

ベルトは、5つある穴の、ちょうど真ん中のものを使うと見た目が綺麗になるよう作られています。それ以外の穴を使うと、どうしても余剰部分が不格好になってしまうのです。よって、長すぎるベルトは切断して調節しましょう。短すぎるものに関しては、残念ながらゴミ箱行きです。

ヒップポケットにも何も入れない

ヒップポケットNG

物が入って形がいびつになったスラックスほど情けないものはありません。特に、ヒップポケットに分厚い財布などを入れると、型が崩れるだけでなく生地へのダメージが大きいため、絶対に避けるべきです。よって、ジャケットのサイドポケット同様、パンツのポケットも使用するべきではありません。スマホや財布などの小物類は、収まる範囲でジャケットのインナーポケットを使いましょう。

合わせるワイシャツの着こなし

スーツの着こなしはワイシャツのサイジングあってこそ

後ろ襟ー袖

スーツを最適なシルエットで着こなすには、ワイシャツのサイジングが不可欠です。特に袖丈と首周りだけは必ずジャストサイズのものを選ぶべきです。美しいスーツスタイルは、ジャケットの両袖、首の後ろ側の3点から1.5cm程度ワイシャツの生地が見えるのが基本です。カフス部分が手首の出っ張っている骨をすっぽり覆い隠すぐらいのワイシャツを選ぶのが目安です。

襟の先端はジャケットの襟に隠す

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Vゾーンはスーツスタイルの要です。ワイシャツの襟とジャケットの襟部分に隙間があると、このVゾーンが綺麗にキマりません。襟の形がセミワイド、もしくはワイドスプレッドのワイシャツを選ぶとジャケットの襟の下に入り込んでVゾーンがまとまります。

ワイシャツの下に白色の肌着は”透ける”

実に多くの人が、肌着の色は白を選びます。しかし、白のワイシャツの下に白の肌着は、確実に透けます。ジャケットを脱ぐと、くっきりとTシャツのラインが出てしまうので、あまり格好いいものではありません。実はもっとも透けない肌着の色は「ベージュ」なのです。自分の肌の色に近いベージュの下着は、どの色のワイシャツを着ていても透けることはありません。また、ネクタイを外す機会のことも考えて、肌着はVネックを選ぶのがベターです。

ネクタイの巻き方

ラペルとネクタイ幅を合わせる

ネクタイの太さですが、これはジャケットのラペル(下衿)の幅と合わせましょう。たとえお気に入りのネクタイが細いナロータイだったとしても、太いラペルのスーツに合わせてしまうと全体で見たときの印象がチグハグになってしまいます。写真のように、ラペルの一番太い部分と同じ幅の剣先のネクタイを選ぶことで、バランスのとれたVゾーンが完成します。

巻き方はプレーンノットで

ネクタイには様々な巻き方がありますが、もっとも簡単なプレーンノットを知っておけばとりあえずオーケーです。ワイシャツの衿の角度に合わせて、結び目の大きさを調節します。ダブルノットやウィンザーノットなど、元々結び目の大きい巻き方もありますが、シンプルなプレーンノットの方が形が綺麗におさまります。ネクタイの生地への負担も少ないですね。

ディンプルをつくる

ディンプル

結び目の下のえくぼ=ディンプルも、大切なワンポイントです。くぼみを作ることを意識しながらつくればさほど難しくありません。

ベルトにかかる長さ

ベルト

結び終わったネクタイの長さも重要です。正しい位置はちょうどベルトに届くぐらいの長さだと覚えておきましょう。ネクタイの位置は短すぎても長すぎても、とてもみすぼらしくなってしまいます。必ずベストポジションをキープしましょう。

革靴

靴とベルトの色は統一する

黒い靴のときは黒いベルトを、茶色い靴のときは茶色のベルトを選びましょう。さらに、バッグや時計のベルトも統一するのが理想です。

靴紐は締め上げる

靴紐 ok,ng

男のビジネスファッションの基本は紐靴であり、ローファーやスリッポンはNGです。また、多くの人が、靴の着脱をラクにするため、紐をゆるく結んでいますが、これもあまりおすすめできません。キリキリと紐を締めあげてこそ、革靴本来のスタイリッシュなシルエットができあがるからです。

脱ぐときに靴を傷めないよう注意

革靴を履くときは、靴を気遣って靴べらをきちんと使う人は少なくありません。その反面、脱ぐときはあまり靴へのダメージを意識していない場合が多いです。カカトをこすり合わせながら脱ぐと、消耗を早めてしまうことになるので避けましょう。つま先とカカトに手を添えて脱ぐか、脱ぎづらい場合は、靴べらを使って脱ぐと簡単に脱ぐことができます。

こまめに手入れをする

ペネレイトブラシ2

色褪せてしまった革靴ほどコーディネートを台無しにするものはありません。カカトのゴムのすり減りなども、本人は意識していなくても案外目立ってしまうものです。面倒でも月に一回はクリームを塗るこめましょう。逆に安価な靴でも、きちんと手入れさえしていれば、見た目は安っぽくなりません。もちろん定期的なカカトの貼替えも忘れずに。

スリーピーススーツ・ベストの着こなし

ベスト着用時のボタンの留め方

ジャケットと同じく、ベストの一番下のボタンも飾りです。留めずに開けておきましょう。また、ベスト着用時は、ジャケットのボタンは全開でもOKです。

股上の浅いパンツは避ける

本来のスリーピーススタイルは、ベルトを使わず、ブレイシーズ(サスペンダー)でパンツを履きます。さらに、股上深めのパンツを履くことで、ベストとパンツの境目をなくし、流線的なシルエットを実現します。スリーピーススタイルでベルトを巻く場合は、ベストからベルトが見えてしまわないよう注意しましょう。特に、流行だからといって股上の浅いパンツを履いて、ベストのパンツの隙間からワイシャツが見えてしまうととても不格好になってしまうので注意が必要です。

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