本来スーツとは、ジャケット、ベスト、ズボンの三つ揃いのことを指していました。近年ではすっかりジャケットとパンツのセットアップスタイルが定着していますが、西欧では今でも正式なスーツスタイルはスリーピースです。日本でも結婚式などフォーマルな場ではベストを着用する人が少なくないですね。
本来のスーツのかたちと言うだけあって、やはりベストを着ると着ないとでは、シルエットの上品さか大きく違います。大切な日はもちろん、普段から積極的に取り入れたいスタイルです。本記事では、そんな正統派クラシックスタイルである、ベストの着こなし方について解説していきます。
目次【本記事の内容】
- 1.スーツのベスト「着こなし基本の”き”」
- 1-1.ベストの一番下のボタンは開ける
- 1-2.ベストは襟なしシングルがおすすめ
- 2.ジレは正装!スーツのベストだけ着るのもアリ
- 2-1.そもそもワイシャツは「下着」! 結婚式ではベストがあったほうがいい
- 2-2.夏にベストを着るのはルール上は正解!でも実際は暑苦しい
- 2-3.スーツのベストだけ買うと着こなしの幅が広がる
- 3.失敗しないスーツのベスト選び
- 3-1.スリーピースで買えば間違いなし
- 3-2.スーツかベストどちらかを無地に!両方無地なら合わせやすい
- 4.スーツとベストの色の組み合わせ
- 4-1.グレーのベストは鉄板
- 4-2.ニットベストならなに色でもOK!スリーピーススーツ風にする裏技
スーツのベスト「着こなし基本の”き”」
ベストの一番下のボタンは開ける
これはスーツの基本ルールでもありますが、ベストを着る場合も、一番下のボタンは開けるようにしましょう。上から羽織っているジャケットのボタンに関しては全て開けていてもマナー上問題ありません。見た目的にも両方閉じるより、ジャケットだけ開ける方がかっこいいですね。
ベストは襟なしシングルがおすすめ
ベストには襟があるものとないものがありますが、これはどちらを選んでもフォーマル度に差はありません。首元がスッキリ見えるシンプルな襟なしがおすすめです。ダブルのベストは上級者向きというか、海外モデル以外がやると到底おしゃれに見えない着こなしなので、普通のシングル6つボタンがいいですね。
ジレは正装!スーツのベストだけ着るのもアリ
そもそもワイシャツは「下着」! 結婚式ではベストがあったほうがいい
ジャケットを羽織らず、スーツのベストだけを着るというスタイルは全然アリです。むしろ、スーツの本場である英国では「ワイシャツは下着」という考え方があるほど。そのため、ワイシャツ姿でいるぐらいなら、ベストを着用したほうが正統派だと言えます(英国ロイヤルファミリーの正装を見てもワイシャツ姿はないはずです)。
そのため、結婚式のようなフォーマルな場ではベストを着用していたほうがスマート。もちろん必須ではありませんが、ベストがあれば屋外でジャケットを脱いでいてもフォーマル感が崩れません。
夏にベストを着るのはルール上は正解!でも実際は暑苦しい
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ただし、これはあくまで古典的なルール。日本やアメリカはもちろん、英国でもワイシャツ一枚で歩いていたからといって後ろ指をさされることはないでしょう。むしろ日本のジメジメとした暑い夏にベストを着込んで活動するのは至難のわざ。ダラダラと汗を流してまでベストを羽織っても、余計に見苦しくなるというものです。
一方で、春や秋のような季節にはベストはとても重宝します。「ジャケットを着ると暑いけどワイシャツ一枚だと肌寒い」という気温なら、ベストは温度調節に最適。もちろんワイシャツ姿より見た目もスマートになります。
スーツのベストだけ買うと着こなしの幅が広がる
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スーツのレパートリーが少ないものの、今すぐスーツを買えるほど資金に余裕がないという人にこそベストがおすすめです。
たとえばグレーとネイビーの2パターンしかスーツがない場合に、どちらにも合わせられそうなライトグレーのベストを買い足したとしましょう。それぞれのスーツに「ベストありバージョン」が追加されるので、それだけで着こなしパターンが2倍に増えるわけです。
さらに、「スラックスはネイビー、ジャケットとベストはグレー」のように組み合わせを入れ替えてジャケパン風にすれば、たった2着のセットアップスーツでも平日5日間を乗り切れます。
ベストは合わせやすいものを単品で購入すればOK。麻布テーラーのようなオーダー店で、ベストだけを作ることも可能です。
以下のページでは、ジャケットやスラックスの着こなしルールについても解説しています。
失敗しないスーツのベスト選び
スリーピースで買えば間違いなし
ベストのコーディネートでまず失敗しないのは、最初からスリーピーススーツを選んで購入することです。ジャケット、パンツと同じ色柄のベストなので、これ以上マッチする組み合わせはないですね。
既製服からスリーピースのものを選んでもいいですが、オーダースーツで一緒にベストも作ってもらうという手段もあります。麻布テーラーでオーダーした場合はプラス1,3000円でベストも注文できます。
スーツを買うよりも安いので、お気に入りのブランドから買うのもひとつ。完全ビジネス使用ならともかく、結婚式で使う予定がある場合などは、少し奮発してベストも同時に購入することをおすすめします。
スーツかベストどちらかを無地に!両方無地なら合わせやすい
スーツが無地であれば、ベストの色柄はよほど奇抜でなければ大抵は合います。逆に言うとストライプのスーツにやチェックのベストを合わせるなど、異なる柄を組み合わせるとチグハグな印象になってしまいます。
まったく同じ色柄のスリーピーススーツでない限り、「柄オン柄」はややハイリスク。柄ものスーツには無地のベストを、無地スーツには柄ものベストを合わせるのが無難です。また、どちらも無地なら、組み合わせで失敗することはほとんどなくなります。
スーツとベストの色の組み合わせ
グレーのベストは鉄板
手持ちのお気に入りセットアップスーツにベストを組み合わせたい場合、単独でベストだけを購入することになります。その際、どんな組み合わせにも完璧にハマる魔法の色が、グレーです。
スーツが黒でもネイビーでも、グレーのベストを合わせると美しいコントラストができあがります。特に薄めのライトグレーが汎用性高め。
もちろんスーツがグレーの場合でも使えますが、メリハリをつけたい場合はベストを黒にするのもアリです。
ニットベストならなに色でもOK!スリーピーススーツ風にする裏技
ベストを着るのが正当なスタイルとは言え、なかなか普段の仕事で着用するのは照れ臭いと感じてしまう人も多いかと思います。まわりに「気取ってる」と思われていると考えてしまうとなかなか勇気が出ませんよね。そんなとき、気軽にチャレンジできるのが、ニット製のベストを合わせるコーディネートです。
正統なスタイルとは多少逸れるとは言え、カジュアルなイメージのあるニットベストであれば、気取っている感じは出ませんし、見た目にもバランスの取れたおしゃれができます。カーキやオレンジなど、通常のベストなら手を出しづらい色でも、ニットならいやらしさがまったく出ません。しかも秋冬はこちらのほうが暖かいというオマケ付きです。
ニットベストは基本的に何色を合わせてもOKですが、無難なのはやはりブラックやグレー、ネイビーといった定番カラー。前ボタンの有無はどちらでも問題ありません。ほかにも、ブラウンやカーキもなじみやすいです。
安いニットベストでも充分おしゃれになるので、いきなりスリーピースデビューに気が引ける人は、まずニットベストから挑戦してみてはいかがでしょうか。