ネクタイを買うとき、多くの人は、ネクタイ単体の色や柄で選んでしまいがちです。しかし、色柄の主張が強いネクタイを単純に選んでしまうと、いざ手持ちのワイシャツやスーツと合わせたときにネクタイだけ浮いてしまう可能性があります。
ネクタイひとつで全身がおしゃれになることはありません。かっこよくスーツを着こなすには、必ずスーツ・ワイシャツ・ネクタイの組み合わせで考える必要があります。
たとえば、光沢の強いオレンジ色のネクタイは、単体で見ると確かに鮮やかで華がありますが、仕事用のスーツに取り入れるのは難しいです。幅広い組み合わせに対応できるネクタイを選んでこそ、日々センスのある着こなしをするための条件と言えます。
このページでは、スーツファッションの着こなし方程式にもとづいた、正しいネクタイの選び方について解説します。
スーツファッション不変の方程式とは
流行の移り変わりが激しいカジュアルファッションと違い、スーツファッションの場合、見栄えをよく見せるためのいくつかの方程式が決まっています。
・ネクタイの太さはジャケットのラペルを基準とする
・シャツとネクタイの組み合わせは3色以内におさめる
・同じ柄同士(チェック×チェックなど)の組み合わせは避ける
・同系色を組み合わせる場合は「シャツ<ネクタイ<ジャケット」の順に濃くしていく。
もちろんスーツファッションにも表面的なトレンドは存在しますが、上記のような方程式はスーツスタイルの根幹となるものであり、時代が変わってもこのルールが崩れることはありません。
前述のとおり、スーツファッションは、シャツ・ネクタイ・スーツ・革靴といった、少ないアイテムをいかに組み合わせるかにすべてがかかっています。とはいえスーツと革靴に関してはそう頻繁に買い替えるもではありません。そういう意味で、日々のスーツスタイルの中核を担うのはワイシャツとネクタイの組み合わせであると言えるでしょう。
ネクタイの適切な太さ
最もスタンダードなレギュラータイは、大剣の幅(最も太い部分)が7cm〜9cm程度です。
7cmよりも細いものはナロータイと呼ばれ、シャープな印象になります。ナロータイは本来カジュアル向けと言われていますが、最近はビジネスシーンでも普通に見かけますね。「ナロータイはダサい」という意見もありますが、細いからダサいというわけではありません。大事なのは、ジャケットやワイシャツの襟とのバランスです。
ネクタイの適切な太さですが、ジャケットのラペルと同じぐらいの幅が良いとされています。少し細めのナローラペルのスーツの場合は、レギュラータイの中でも細めの7cm〜7.5cmぐらいを選ぶと綺麗な見た目に。逆に幅広のワイドラペルのスーツを着るなら、8cm以上のネクタイを合わせるのがいいでしょう。
ネクタイ以外にも、ジャケットや革靴、靴下や肌着にいたるまで押さえておきたい知識はさまざま。以下のページでは、スーツをかっこよく着こなすための基礎知識について解説しています。
ネクタイの素材、種類
ワイシャツとの組み合わせを考える前に、ネクタイの種類について知っておきましょう。
シルク
一般的なネクタイは、シルク製が多いです。合成素材よりも、シルク100%の方が結びやすく、形も馴染みやすいのでおすすめです。
リネン、ウール
リネンとウールは、季節感が出せる素材です。リネン(麻)ネクタイは夏にさらっと、ウールネクタイは冬に厚手のジャケットと合わせて使いましょう。逆に夏にウールを巻いたり冬に麻を使うのはNGです。
これらの素材はスーツの生地と合わせるのがおすすめ。麻のスーツに麻のネクタイを合わせるような季節限定ものの着こなしができると、おしゃれ度はアップします。
ニットタイ
編み込み製法が特徴のニットタイも、他の人と差をつけるアイテムです。
特にシルク製のニットタイは見た目も涼しげで、夏のスーツファッションに適しています。夏はクールビズでノーネクタイの人も多いですが、ワイシャツの襟型によってはやはりネクタイを巻いたほうがおしゃれです。英国風のワイドスプレッドカラーのワイシャツに爽やかな色のニットタイを合わせれば、クールビズファッションでも差をつけることができるでしょう。
コーディネートに使うネクタイの柄
世の中には星の数ほどネクタイの柄が存在しますが、おしゃれなコーディネートに使える柄は大別すると4種類です。
無地
スーツファッションの鉄則はシンプルなアイテム同士の組み合わせです。無地のネクタイはその最たるもので、本場仕込みの洗練されたスーツスタイルを目指すなら欠かせない1本です。
しかし、無地のネクタイを使用するスーツ男子は意外なほど少ないです。コーディネート自体も難しくないので、ネイビーやブラウンの無地は持っておきたいところ。
紺スーツに合わせてもグレースーツに合わせても相性は抜群です。以下のページで無地ネクタイの着こなし例を紹介しています。
ドット
水玉は大きいとポップでカジュアル寄りに、逆に小さいとスタイリッシュになります。ドット柄は女性にも不動の人気を誇っています。クールさと可愛いさを兼ね備えているので、1本あればとても重宝します。
定番ですが、ネイビー×ホワイトのドットタイは必須アイテムです。
組み合わせるスーツやワイシャツの色、水玉の大きさによって与える印象は変わってきます。以下のページでは、イメージ画像を用いて「ドットタイとスーツの着こなし」を解説。
ストライプ(レジメンタル)
斜めストライプや、2色〜3色構成のレジメンタルストライプが人気ですね。他の柄よりもネクタイ自体に存在感があるので、お店に並んだネクタイを眺めていると、やはりストライプが目に飛び込んできやすいです。そのためか、日本では世代問わずストライプタイが愛用されていますね。
もちろんストライプネクタイも悪くはないですが、スーツとの組み合わせで気を抜くと「量産型サラリーマン」になってしまうので注意が必要です。ストライプネクタイとスーツの着こなしパターンについては以下をどうぞ。
小紋
ドット柄と並び、小紋(エンブレム)柄も汎用性が高いです。特に小さめの小紋はコーディネートがしやすく、ドットとはまたひと味違った上品さを演出することができます。
模様の大きさや、どんなエンブレムを選ぶのかのよってスーツの印象が決まります。小紋タイのイメージがわかない人は以下のページを参考にしてください。
【おすすめは無地かドット柄!】
日本人はストライプネクタイを選びがちです。道行く男性を観察してみると、本当に多くの人がストライプを選んでいることがわかります。
ストライプネクタイがダサいというわけではありませんが、どうしても凡庸になりがちで、コーディネートでおしゃれに見せるのが難しいです。
無地やドット柄のほうが見た目がすっきりし、たとえシンプルな組み合わせでもおしゃれに見せることができます。スーツファッションにこだわりのあるイタリアやイギリスの男性も無地やドット柄を選ぶことが多いです。
ワイシャツとネクタイの組み合わせ
「シャツとネクタイの組み合わせは3色以内におさめる」「ストライプ×ストライプなど同じ柄同士の組み合わせは避ける」「シャツ<ネクタイ<ジャケットの順に濃くしていく」といった方程式を踏まえながら、ワイシャツとネクタイのコーディネートを考えていきましょう。
王道白シャツにはどのネクタイも合う
おしゃれにこだわればこだわるほど、いろんな柄に挑戦してしまいます。
しかし、一旦原点に立ち返ると、シンプルな組み合わせほどおしゃれなコーディネートであることに気づきます。スーツファッションにおいては特に。
なかでも「おしゃれは引き算」を究極まで突き詰めたスタイルが白シャツと無地ネクタイの組み合わせです。オーダーで作ったジャストサイズのホワイトシャツに無地のネイビータイを合わせるだけで、派手な高級アイテムで固めたコーディネートを凌駕する美しさを持っています。
ドットタイも王道はネイビーですが、シャツが白であればどんな色を選んでもキマります。
小紋柄ネクタイを合わせる場合はビビッドカラーがおすすめです。ホワイトシャツならネクタイが鮮やかでも主張しすぎということはありません。白シャツの着こなしイメージは以下のページで紹介しています。
青ワイシャツは無地ネクタイやドット柄ネクタイ、ストライプネクタイが好相性
白のワイシャツと同じく、青シャツも無地のものであればどんなネクタイを組み合わせても問題ありません。
ネイビースーツにネイビーのネクタイを組み合わせれば、センスを感じさせる同系色のコーディネートになります。同系色で全てのアイテムが無地だと味気なくなってしまうので、アクセントとしてドット柄ネクタイを合わせるのがおすすめです。
単体だと使いづらいオレンジのソリッドネクタイも、青のワイシャツなら派手な印象が中和されます。ワイシャツとネクタイの素材感を合わせるのは上級者向けです。
平凡なイメージになりやすいストライプネクタイも、青シャツなら爽やかな印象に。ストライプの色の一つに、シャツと同じ青系の色を取り入れるのがポイントです。その他、青シャツの着こなしイメージについては以下を参考にしてください。
ストライプシャツはドットタイが合わせやすい
ストライプのワイシャツには、断然ドットタイがマッチします。問題は、シャツとネクタイの色の合わせ方ですが、同系色で組み合わせると失敗が少ないです。
また、色を多く使いすぎるとコーディネート全体にまとまりがなくなるので3色以内におさめましょう。
ドットだけでなく、無地や小紋も合います。この場合も三色ルールを厳守しましょう。小紋に関しては、やはり小さめのパターンの方が綺麗にまとまります。
シャツに使われている色にネクタイの色を合わせる方法の他に、ボタンの色に合わせるという小技も使えます。
「ストライプワイシャツとネクタイの組み合わせ」ページはこちら
チェックワイシャツには無地ネクタイ
チェック柄はシャツ自体の主張が強くなるので、ネクタイは無地にするのが一番しっくりきます。
ニットタイとの相性も良く、特に黒×白のギンガムチェックとグレーのニットタイは抜群に合います。
ドットや小紋柄のネクタイも合いますが、組み合わせによってはうるさい印象になってしまうので注意が必要です。前述したとおりチェックシャツにチェックネクタイは避けましょう。以下のページではギンガムチェックのシャツをベースに、ネクタイとの着こなしを紹介しています。
「チェック柄ワイシャツとネクタイの組み合わせ」ページはこちら
シャツ・ネクタイ・ジャケットのうち一つは無地にするのがコツ
最後にジャケットを組み合わせた際の注意点を。
基本的にシャツとネクタイを3色以内にまとめていれば綺麗におさまりますが、「チェックシャツ×ドットタイ×ストライプスーツ」のように、全て柄モノで組み合わせてしまうと全体像が散らかってしまいます。かならずどこかに無地のアイテムを入れましょう。
また、同系色でまとめる場合は、シャツ<ネクタイ<スーツの順に色を濃くしていくとおしゃれに見えます。ネクタイをオレンジやグリーンなどのビビッドカラーにして、差し色を入れるのもメリハリができて良いですね。