結婚式で着て行くスーツのコーディネートを考えるのはなかなか難しいです。ただ着飾るのではなく、フォーマルスタイルはマナーを守ったうえでドレスアップしなければなりません。
そんななか、グレーのスーツをコーディネートの有力候補に挙げる人は多いのではないでしょうか?グレーのスーツは、ブラックほど重くなりすぎず、ネイビーほど軽くならないので、フォーマルの場でひときわ色気を醸し出すことができます。
しかし、マナーを知らないととんでもない恥をかくことになりかねないのもグレーの特徴。仕事用のグレースーツをそのまま着ていくにしても、ひと工夫必要です。このページでは結婚式のマナーを押さえつつお洒落感をアップできる、フォーマルシーンでのグレースーツの着こなしについて解説します。
目次【本記事の内容】
- 1.結婚式のスーツにグレーを選ぶときにしっておきたい色のマナー
- 1-1.グレースーツは「略礼装」
- 1-2.結婚式ではダークグレー(チャコールグレー)スーツがおすすめ
- 1-3.ライトグレーは新郎の色に近いので注意!結婚式では明るすぎるカラーは避ける
- 2.結婚式で着るグレースーツの柄は無地がベター!薄いストライプは許容範囲
- 3.ビジネススーツ丸出しは失礼!結婚式用に格上げする着こなし方
- 3-1.ネクタイをフォーマル仕様に!色や柄、太さをチェック
- 3-2.ポケットチーフでくたびれグレースーツをアップデート
- 3-3.カフリンクスやネクタイピンも手軽に着こなしを格上げできる
- 3-4.スリーピースやベストを合わせるのも結婚式向き
- 4.結婚式当日まで1ヶ月以上あるならオーダースーツもアリ
- 5.その他グレースーツを結婚式で着るときに気をつけたいマナー
- 5-1.ワイシャツは白が確実!ボタンダウンカラーは避ける
- 5-2.結婚式にふさわしい革靴は「黒の内羽根ストレートチップ」
- 5-3.革靴を手入れしておくことは基本中の基本!
- 5-4.靴下はふくらはぎまで覆う長さを選ぶ
- 5-5.腕時計は「3針」「白系文字盤」「黒革ベルト」がベター
- 5-6.ビジネスバッグはNG!男性は手ぶらかクラッチバッグで
結婚式のスーツにグレーを選ぶときにしっておきたい色のマナー
グレースーツは「略礼装」
結婚式の服装には、「正礼装」「準礼装」「略礼装」があります。正礼装はモーニングコートやテールコート(燕尾服)を指し、新郎新婦の親族が着ることが多いです。
準礼装はディレクターズスーツやタキシードなどを指し、主賓やスピーチを担当する人向けの服装です。
【略礼装】
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略礼装はダークスーツを指します。新郎新婦の友人など、一般的なゲストは準礼装が多いです。ダークグレー(チャコールグレー)スーツや濃紺スーツが準礼装に該当。結婚式で着るグレースーツもこれにあたります。
また、日本では「ブラックスーツ」も準礼装や略礼装として認識されることが多いです(準礼装なのか略礼装なのかの線引きはあいまい)。ただし仕事できるような黒のスーツではなく、礼服用の漆黒スーツなので混同しないよう注意しましょう。
結婚式ではダークグレー(チャコールグレー)スーツがおすすめ
結婚式でグレーを選ぶ場合は、ややダーク寄りのチャコールグレーを選ぶのが確実。
チャコールグレーのフォーマルな着こなしは、重くなりがちなブラックスーツよりも格段に洗練された印象を放ちます。
ひとくちにダークグレー(チャコールグレー)といっても色調はさまざま。「暗めのグレー」とおぼえておけばとりあえずOKです。
もちろん結婚式だけのためにわざわざチャゴールグレースーツを買う必要はありませんが、グレー系のスーツを何着か持っている人は、暗めの色のほうが無難であることを覚えておきましょう。
ライトグレーは新郎の色に近いので注意!結婚式では明るすぎるカラーは避ける
結婚式でグレーのスーツを着る場合、明るいグレー、つまりライトグレーを選ぶのはやや危険です。
白やシルバー、そしてライトグレーは新郎の衣装に多く使われる色で、脇役である来賓客が主役と同じ色を着るのは失礼にあたります。結婚式ではとくにやってはいけないマナー違反と言えるでしょう。主役と同じ色の衣装で、主役と同じレベルに着飾るぐらいなら、8,000円のヨレヨレの礼服で参列するほうがまだマシです。グレースーツを選ぶ場合は、くれぐれも明度に注意しましょう。
結婚式で着るグレースーツの柄は無地がベター!薄いストライプは許容範囲
柄は結婚式の場合は、やはり無地(ソリッド)が無難。控えめなシャドーストライプ程度なら柄が入っていてもOKです。一見すると地味に思えるソリッドグレースーツも、ネクタイなどの組み合わせ次第で大人の魅力に溢れたスタイルを演出できます。
ビジネススーツ丸出しは失礼!結婚式用に格上げする着こなし方
「仕事で着ているグレースーツを結婚式に着ていったらダメなの?」と疑問を抱く人も多いはず。実際のところ、仕事用のスーツを結婚式でそのまま使う人は少なくありません。むしろ、「結婚式専用のグレースーツ」を用意する人のほうが少数派だと言えるでしょう。
ただし、明らかにビジネススーツ丸出しの雰囲気になってしまうのはNG。「仕事のついでに寄りました」という感じが出て、新郎新婦やその親族に失礼だからです。
ネクタイにこだわる、ポケットチーフを使うなど、いつものビジネススーツにちょっとした工夫を加えるだけで、結婚式にふさわしいフォーマルなグレースーツに格上げできるので知っておきましょう。
ネクタイをフォーマル仕様に!色や柄、太さをチェック
仕事用のグレースーツをてっとり早く結婚式仕様にするなら、ネクタイが一番の近道。ネクタイを変えるだけで印象をアップデートできます。
一番避けたいのがこうしたストライプのネクタイ。仕事用としてストライプネクタイを選ぶ人がとても多く、いかにも「いつも使っているネクタイを着けてきました」といって印象に。そもそもストライプはフォーマルにあまりふさわしくない柄でもあります。
おすすめは無地のネクタイ。光沢感のあるシルク製のものを選ぶと、結婚式らしい華やかな装いになります。色はシルバーが結婚式では無難ですが、ネイビーやピンクなどでも問題ないでしょう。あまりに派手な色はNGです。
メーカーは「FAIRFAX(フェアファクス)」がおすすめ。創業50年以上を誇る日本の老舗ブランドです。伊勢丹など全国の百貨店にも取り扱いがあり、クオリティに間違いはありません。特にメーカーにこだわりがない場合は、シルク100%のものを選んでおけば安物感はないでしょう(ポリエステル入りはあまりおすすめしません)。
ドット(水玉)や小紋など、ちょっとした柄が入ったものでも大丈夫です。ただし、大きすぎる柄やキャラクターが入ったものなどカジュアルなものは避けましょう。素材はやはり光沢感があるシルク製ものがベターです。
あまり気にしすぎる必要はないですが、ネクタイの太さはジャケットの上衿(ラペル)に合わせるとスマート。通常の幅や広めのラペルなら、一般的な幅のレギュラータイを選べばOKです。細身のナロータイは、ジャケットのラペルが細い場合に選びましょう。
ポケットチーフでくたびれグレースーツをアップデート
もうワンランク格上げするなら、ポケットチーフを取り入れましょう。胸ポケットに一枚チーフを挿すだけで、お手軽にドレスアップできます。折り方はいろいろありますが、シンプルにTVフォールドがおすすめ。主張しすぎず、さり気なくおしゃれを演出します。たたみ方もかんたん。
より格式を上げたいなら、スリーピークスにしましょう。フォーマル度が高いので、親族や主賓で出席する場合におすすめです。
ポケットチーフの選び方ですが、白色を選ぶのが間違いありません。ネクタイの色に合わせてもおしゃれですが、色によってはやや派手な印象になることも。白ならどんな組み合わせにもマッチします。素材は麻(リネン)が最もフォーマルです。
カフリンクスやネクタイピンも手軽に着こなしを格上げできる
カフリンクスやネクタイピンは、ポケットチーフと並んで手軽にフォーマル仕様へとアップデートできるアイテム。どちらもただの装飾品ではなく実用的なアクセサリーなので、とくに結婚式では嫌味な印象を与えることなく身につけられます。
袖口(カフス)に装着するカフリンクスは、腕を曲げたときなどにチラリと上品さをアピールすることが可能。さまざまな種類のものがありますが、シルバーのスクエア型がフォーマル向きです。
ちなみにカフリンクスを装着するには、袖のボタン側も穴が空いた仕様のもの、もしくはフレンチカフスと呼ばれる二重の袖になった仕様のシャツである必要があります。結婚式に着ていく予定のシャツがカフリンクスに対応しているかは確認しておきましょう。
ネクタイピン(タイバー)に関しては、あまりにシンプルすぎるものだとビジネス用っぽく見えてしまいます。あまり独創的すぎても悪目立ちしますが、アクセサリーとして少しデザイン性があるものを選ぶのがいいでしょう。
スリーピースやベストを合わせるのも結婚式向き
ベスト(ジレ)もフォーマルなアイテムのひとつ。スーツを買うときにスリーピース(ジャケット・スラックス・ベスト)で購入しておけば、結婚式でそのまま使えます。
セットアップ(ジャケット・スラックス)の場合は、別途ベストを買い足すことで結婚式仕様に。グレースーツに合わせる場合、チャコールグレーや黒色のベストを合わせると相性がいいでしょう。
ブラックスーツ×グレーベストも結婚式でおすすめの組み合わせ
グレーが活躍するのはセットアップスーツだけではありません。ブラックの上下にグレーのベストをあわせるのもおすすめの組み合わせです。
礼服用に黒のスーツを持っている人も多いですが、結婚式でブラックスーツに淡いネクタイでは、マナーどおりとは言えさすがに華やかさに欠けてしまいます。ネクタイやポケットチーフのなどのアイテムで暗さを緩和することも可能ですが、ベストをグレーにするだけで印象が大きく変わります。
スーツカンパニー『CERIMONIA』
結婚式当日まで1ヶ月以上あるならオーダースーツもアリ
オーダースーツなら結婚式にふさわしい仕様のスーツを仕立てることができます。生地やデザインを自由に選べるので、高級生地を使ったハレの日専用スーツはもちろん、耐久性も考慮した「ビジネスでも着られるジャストサイズの美しいスーツ」をオーダーすることも可能です。
オーダースーツは安い店ほど生地がチープになりがちですが、そんななかでおすすめなのが「Suit Ya」。ネットオーダー専門でコストカットすることにより、29,800円〜というリーズナブルな値段でウール100%の上質スーツを作ることができます。
ただしあくまでオーダースーツなので、注文してから手元に届くまで30日ほどかかります。結婚式当日に間に合うよう、余裕をもってオーダーしましょう。
⇒「Suit ya」公式サイトへ「Suit Ya」の特徴や注文手順、評判については以下の関連記事でも紹介しています。
その他グレースーツを結婚式で着るときに気をつけたいマナー
ワイシャツは白が確実!ボタンダウンカラーは避ける
ワイシャツの色は、はっきり言って白一択です。これは一度でも結婚式に参加してことがある人ならわかるはず。男性参加者のほぼ全員が、白のシャツを選択します。サックスブルーのシャツなどもマナー的にNGではないですが、白を選ぶのが無難です。
意識したいのは、衿(カラー)のかたち。先端にボタンがついた「ボタンダウンカラー」のシャツは、スポーツが起源のカジュアル志向なシャツです。結婚式にはふさわしくないので気をつけましょう。
おすすめは、衿の角度が広い「ワイドスプレッドカラー」や「セミワイドスプレッドカラー」のシャツ。ネクタイがきれいに収まり、美しいVゾーンを構築できます。もちろん、量販店などで売られている一般的な衿の角度の「レギュラーカラー」でも問題ありません。
結婚式にふさわしい革靴は「黒の内羽根ストレートチップ」
革靴にはさまざまな種類がありますが、結婚式にふさわしい最も格式が高いのは黒色の「内羽根ストレートチップ」です。「内羽根」とは結び目部分が一体になった形状のことで、「ストレートチップ」は甲に一文字のステッチが入ったデザインを指します。
もちろん、「結婚式では絶対に黒の内羽根ストレートチップじゃないといけない」というわけではありません(黒ストが最もフォーマルだと知らない人も多いでしょう)。ただし、茶色など黒以外の靴や、フルブローグ(ウイングチップ)のような過度に装飾が入った靴、ローファーはNGです。「派手ではない黒色の紐靴」なら許容範囲でしょう。
黒の内羽根ストレートチップは、結婚式やお葬式はもちろん、ビジネスでも使える汎用性の高い靴。「これから結婚式用の革靴を買う」という人は、黒の内羽根ストレートチップが断然おすすめです。
革靴を手入れしておくことは基本中の基本!
明らかに手入れされていない色のくすんだ革靴、艶のないみすぼらしい革靴はとても悪目立ちします。一方でしっかりとクリームが塗り込まれた革靴は、本当は安物でも美しく見えるものです。
スーツの着こなしは足元で決まると言っても大げさではありません。その明暗を分けるのがシューケア。革靴の手入れについては以下の関連記事を参考にしてください。
【注意!】ニオイのケアも怠らないのが紳士
二次会や三次会では革靴を脱ぐ可能性もあります。
スニーカーよりも通気性に劣る革靴は、雑菌によって悪臭を放ちやすいのが欠点。足のニオイで知らずしらず恥をかいてしまわないよう注意しましょう。
靴の消臭はグランズレメディで一発解決が可能。Amazonのレビューからもわかるとおり、ニオイで悩むことがなくなります。
靴下はふくらはぎまで覆う長さを選ぶ
意外と目立つのが靴下。結婚式では黒などのダークカラーで柄の入っていないものを選びましょう。イスに座ったときに素足が見えないよう、ふくらはぎまで覆うロング丈のものを穿くのがセオリーです。
腕時計は「3針」「白系文字盤」「黒革ベルト」がベター
腕時計は、スーツの男性が唯一身につけられるアクセサリー。個性を演出できるポイントです。
稀に「結婚式で腕時計はマナー違反」という意見が見受けられますがこれは間違い。正確には「結婚式の途中でチラチラ腕時計見る(時間を気にする)行為」がNGなのです。
基本的な考え方として、黒文字盤よりも白文字盤(シルバーやクリームも含む)がフォーマル。そしてクロノグラフやダイバーズウォッチのようなスポーツモデルよりも、シンプルな3針(時針・分針・秒針)の腕時計が結婚式向きです。
また、メタルブレスレットも本来はスポーツ用途で、黒のレザーベルトがドレス仕様となります。
とはいえ厳密なルールがあるわけではないので、ダイヤを散りばめたような派手すぎるものでなければ問題ないでしょう。英国紳士のお手本であるジェームズ・ボンドもタキシードにダイバーズウォッチを合わせてるぐらいです。主賓のような立場でなければ、手持ちの時計を合わせましょう。
結婚式用に腕時計を新調するなら、セイコーの3針モデルを選んでおけばブランドのマウンティング合戦にも巻き込まれることなく無難です。
同じ国産メーカーのオリエントの機械式時計も、クラシックでかっこいいです。セイコーほど没個性的ではないのも好ポイント。
その他、以下の関連記事で結婚式にふさわしい腕時計を紹介しています。
近年では腕時計のレンタルサービスなどもあります。ロレックスやカルティエなど、スイスメイドの高級時計を借りることも可能です。
以下の関連記事は時計レンタルサービスの「KARITOKE(カリトケ)」について紹介したものですが、各国の有名ブランドや代表的な時計についてのウンチクをことこまかく説明しているので、予算別で「どんな時計を選べばいいか」悩む人にとって参考になるでしょう。
ビジネスバッグはNG!男性は手ぶらかクラッチバッグで
ブリーフケースなどのビジネスバッグは「仕事帰り感丸出し」になってしまうアイテムのひとつ。とはいえリュックやトートバッグではカジュアルな印象になってしまいます。ご祝儀袋や財布、スマホなど、結婚式の参列に必要な持ちものはそう多くないはず。バッグに入れて持ち歩くなら、小ぶりなクラッチバッグがおすすめです。
祝儀袋を入れる「ふくさ」は慶弔使える紫色が便利
ちなみに祝儀袋は「ふくさ」に入れて持参し、受付でふくさから取り出して渡すのがマナー。大きめのハンカチやふろしきで包んでもいいですが、ポケット式のふくさがあれば便利です。紫色なら結婚式とお葬式のどちらでも使えます。
祝儀袋は右開きになるよう入れるのもポイント。左開きは香典袋なので注意しましょう。ポケット式ならどちらでも対応できます。
披露宴の出し物や二次会用の準備物などで荷物が多い場合は、無理にクラッチバッグにこだわらなくてもOK。ただし結婚式に参列するときは、式場の受付で荷物を預けて身軽な状態で出席しましょう。
結婚式でのネイビースーツの着こなしについてはこちら
グレースーツと並んで、ネイビースーツも結婚式の定番。以下の記事では、結婚式におけるネイビースーツの着こなしポイントについて解説しています。